勉強会でのレジュメ
2008/2/24の勉強会向けに用意した私のレジュメです。
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正義は住民に
20080224 湖風プロジェクト 大野嘉章
私は、環境の問題を自分の外側の問題と考えずに、生き方と深く関わる問題として考えたい。この問題と向き合っている皆さんにも同じように考えていただきたいので、当日は私が環境と関わってどのような生き方をしてきたか自己紹介を最初にします。
今回の手続の進行は徹頭徹尾「知らせない」という考え方が一貫しています。
これは紛争予防条例の制定主旨に反しています。議会は紛争を予防するためにこの条例を作りましたが、行政はその運用を誤りました。行政は手続は適正に行われていると言い張るのでしょうが、行政手続の外側で結果として紛争が生じています。条例は紛争が起こりうることを予見して、その発生や拡大を予防し秩序だった調整をするルールとして作られた筈です。懸念される事象や範囲を安全側にとって十分周知して、懸念を予め出し切って手続に乗せるのが条例の期待です。行政は運用によって見事にこの条例制定趣旨を裏切りました。
関係地域の範囲が、事業所の敷地境界から51m???
騒音はALCの壁体で遮音されるから無視できる???
焼却はしないからガス状の排出ガスは出ない???
建物解体現場とその後・・・
操業の定常と非定常
事後に紛争を持ち越さないための紛争予防条例
事実によって、運用が批判されている
関係地域、対象項目は安全側に広く取る(他の自治体の例を参考に)
関係地域は市長が定める、という規定が恣意的な運用を許していないか
紛争予防の項目と規制項目
周知方法 計画の周知は事業者の責任だが、制度の正しい運用は行政の責任
説明会開催の周知が回覧板でよいか
市の広報での周知は何故しないのか
計画の縦覧は行政手続 行政関係者以外の同席はありえない
自治会の性格は?行政との関係 自治会の構成単位 意思決定方法
自治会長のポスト争いではないだろう 自治会の民主化こそが目標
環境保全協定の調印は、地元の合意を意味するか
地元の合意は得られている、という事実に反する説明が議会、都市計画審議会、農業委員会、建築審査会の審議をミスリードしたのではないか。
そもそも紛争予防制度、環境アセス制度は結論を地域の多数決に委ねてはいない。少数でも正論が出されれば、その意見に対応することを事業者に求めている。数での支配ではなく、深い議論が展開されることを促している。その権利が保障されなかった。
結果として、紛争予防条例は機能したか
紛争予防条例を制定した議会は行政の運用を監視する責任がある
世論の公器たるマスメディアは行政権力と緊張関係を保っているか
上島の運動から何を学ぶか
運動主体の正義感 と同時に、議会・マスメディアからの孤立感が最高裁判断まで求めさせたのではないか。
私が経験した東京池袋での区画整理事業の事業決定無効確認訴訟は1審、2審で敗訴して最高裁までは争わなかった。 判例は変えられなかったが、我々の側に正義があったことは訴訟を通じて周知できた。
行政と癒着して地域を欺いた側が街をコソコソ歩く結果となり、過大な借り入れをして破綻した者も少なからず出た。街の変化を学び見極めた我々の側が堂々と町を歩き生き残った。
住民運動において
住民主体の運動方針 地域の実力者・議員(市議・県議・国会議員など)に委ねない
女性の参加の重要性:土地を不動産価値で見がちな男性 v.s. 土地を生活の場と見る女性
運動への誹謗中傷:直接的な対応は無益 中傷合戦は運動のレベルを押し下げる
土地を事業者に売った者を非難しない このような判断に傾く地域性こそが反省点>誰の土地でも起こり得た
地域の将来をどうにしたいのか。
住民自身の議論がなかったと推察する。かつては農地としての土地利用で秩序だっていた地域にバイパスだけが抜かれ周辺地域の都市計画が作られなかった。行政の責任であると共に地域住民の責任でもある。
専用住宅や都市公園は無防備でリラックスできる環境が保障されねばならない。エネルギーレベルの高い都市施設である幹線道路と隣接することは難しい。間に緩衝帯が必要。
たとえば、幹線道路沿道型の施設を適切に誘導再配置し、背後地に順次エネルギーレベルを下げた事業所などを配置し、その背後に専用住宅を置く都市計画はありうる。
地域の将来を受身で構えるのか、自らの手で描き獲得するのか。今後新たにこの地域に移り住む住民、将来この地域で育つ子や孫の世代はいま声を上げることができない。いまこの地域に責任を持って声を出し、行動できるのは、誰か。
私のブログ 東京池袋で経験した区画整理事業での住民運動で、建設大臣に対して行った審査請求の口頭陳述書を私のブログにupしました。
http://umi-kaze.cocolog-nifty.com/blog/
環境のレベル∝住民のレベル (石弘之)
行政のレベル∝住民のレベル (大野)
行政を過小に評価してはいけないが、過大に評価するのも間違い。
住民の諦めが行政を増長させてきた。
今回の行政のやり方が通れば今後も繰り返されるだろう。
住民自身が変わらずには、自治会も行政も変わらないだろう。
住民自身が変われば、自治会も行政も変わらざるを得ないだろう。
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口述用のメモも別途アップします。
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