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2009年10月 6日 (火)

お前は誰?

お友達情報を載せたらば、お友達はわかった、ところであなたは何者?という問い合わせが数件あった。身の証を立てよということらしい。

元公害行政・環境行政の末端に従事していた公務員で定年退職をし、現在は喫茶店マスター。とは言っても伝記が書かれることはないだろうし、自叙伝を書くつもりもない。
幸か不幸か私が主人公になった小説が既にある、というのでこれは参考になるだろう。
それも芥川賞作家・辻仁成さんが書いた小説なのだ(正確に言えば、彼が芥川賞をもらったのはこの小説を書いた後)。その小説の名を「アンチノイズ」。
騒音=ノイズを取り締まる公務員を主人公にしたので、アンチノイズとしたのだろう。
彼からは「騒音苦情の処理業務に従事している公務員の話を聞きたい」という申し出があって話をした。私は辻仁成さんを知らなかったけれど、同席した同僚は音楽家として名前を聞き知っていた。
この時は、騒音苦情処理の話をした上で、当時手がけていた鐘の音調査の話をした。こちらに関心を向けて欲しかったし、実際書かれた内容から彼も関心を持ってくれたことが伺われる。
取材の結果出来上がった小説は、雑誌「小説新潮」に掲載された上で、単行本になった。
内容を読んで、おいおい、という感じもしたが若い作家さんの荒削りだけれど勢いのある文章に、騒音に関する工学的な認識の誤りを指摘するのは大人気ないとそのままにした。
当時は、職場や騒音研究者の間で面白おかしく話題にしてくれた程度だった。
私としては、騒音苦情の処理を業務とする公務員、が小説の主人公になったということが象徴的な意味を持ったと考えた。20世紀末にはこのような職業が存在した、と言えるから。21世紀にはなくなっているかもしれないし。
私の仕事を知る人が読むとこの主人公は大野さんだとわかってしまった(項を改めて書くが、鐘の音調査が注目された仕事だったから)。一方、ここで描かれている主人公はかなりアブナイ公務員なので、「大野さん、どこまで本当なの?」と詰問が何件か寄せられた。
いつの世もコームインとはアブナイ者なのだ、と誤魔化していた。
その程度で済むかと思ったのだが、その後辻仁成さんが芥川賞をもらってしまい、それまでの彼の著作が文庫化されて身近で読めるようになってしまった。そこまでしなくてもいいのに。
ということで、どうしても「アンチノイズ」を読みたい方は、ブックオフで文庫版を探して欲しい。100円とはいかないけれど、200円とか250円ではよく見かける。単行本だと700円ぐらい。
読んでいただいて、私の身の証となるか、より懐疑が深まるか・・・。

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